簡易トイレのおすすめは?選ぶ順番は「回数→袋と付属品→保存の表示」
防災用の簡易トイレは、まず家族に必要な回数を決め、次に袋や便座カバーが付いているかを見て、最後に保存年数の表示を確かめると選びやすくなります。1回あたりの値段は、中身のそろい方が近い商品どうしで比べてください。
- 回数を決める。目安は「1日5回×人数×日数」(下の「何回分備える?」の節)
- 袋と付属品を見る。凝固剤だけの商品は、便器にかぶせる袋を別に用意する(下の「凝固剤だけ・袋とのセット・吸水シート」の節)
- 保存の表示を見る。年数の書き方は商品ごとに違う(下の「保存年数」の節)
比較表の商品は、中身で5つに分かれます
| 比較表の商品 | 中身の型 | 付いているもの | 向いている備え方 |
|---|---|---|---|
| レスキュートイレ119 | 凝固剤だけ | 1回分ずつの凝固剤の小袋(汚物袋なし) | 袋は手持ちのポリ袋を使い、凝固剤だけを場所を取らずに備える |
| 半永久保存 非常用トイレセット(RONE_SHOP)、防災士監修 凝固剤 消臭 セット(Taigu) | 凝固剤+袋 | 汚物袋・防臭袋(Taigu は手袋も) | 凝固剤と袋を同じ数だけ、箱単位で備える |
| 非常用トイレ 50回 防災セット(シャットレット)、防災士監修 50回分セット、防災士監修 20回分 コンパクトセット | 凝固剤+袋+便座カバー | 汚物袋・便座カバー(トイレカバー)・防臭袋・手袋 | 開ければ使い始められる一式で備える |
| トイレの女神 PREMIUM 女性用 | 凝固剤+袋+身の回りの品 | 黒いポリ袋・処理袋・使い捨てパンツ・ティッシュ | トイレと女性の身の回りの品をまとめて備える |
| シートイレ(アクアタルク) | 吸水シート | 吸水シート・汚物袋(防臭袋なし) | 粉をふりかけず、シートを敷く方式で備える |
災害のとき、家のトイレが使えなくなる理由
大きな災害では、断水・停電・排水管の損傷などで水洗トイレが使えなくなります(日本トイレ研究所)。内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」は、次のような制約を挙げています。
| 起きること | トイレへの影響 |
|---|---|
| 断水・給水管の破損 | 水が流せない。手も洗えなくなる |
| 停電 | マンションなどでは水がくみ上がらず、水洗トイレが使えなくなる |
| 下水道・浄化槽の破損 | 水が確保できても、排水先が壊れていれば使用を中止する必要がある |
水が出ても、すぐに流してよいとは限りません。内閣府のガイドラインは、発災直後は下水処理場などの被害が確認されるまで水洗トイレを使わず、災害用トイレを使うよう求めています。東京都の防災パンフレットも、集合住宅で配管が壊れていると汚水が逆流し、下の階のトイレからあふれる可能性があると説明しています。TOTO と LIXIL も、排水管が破損している場合はトイレに水を流さないよう案内しています。
東京都のパンフレットは、トイレを我慢するために食事や水を飲む量を減らすと健康状態の悪化につながるとして、家庭の便器に設置して固めて処理できるトイレを用意するよう呼びかけています。
「簡易トイレ」と「携帯トイレ」の違い
この記事で比べている「便器にかぶせる袋と凝固剤のセット」は、内閣府のガイドラインの定義(既存の洋式便器につけて使う便袋タイプ)に当てはめると携帯トイレに当たります。販売ページでは「簡易トイレ」「非常用トイレ」「防災トイレ」「携帯トイレ」が同じ商品名の中に並んでいて、呼び方では中身を区別できません。
| ガイドラインの区分 | どんなものか | 使う場所 |
|---|---|---|
| 携帯トイレ | 既存の洋式便器につけて使う袋。吸水シートや凝固剤で水分を固める | 家や避難所の洋式便器(電気・水なしで使える) |
| 簡易トイレ | 便座と処理の仕組みがセットになった、持ち運べる小型のトイレ。介護用のポータブルトイレなど | 室内に置いて使う。電気が要るものもある |
| 簡易トイレ(組立式) | 段ボールなどで組み立てた便器に袋をつけて使う | トイレがない、洋式便器がない場所 |
この記事の商品には便座の付いた本体は含まれず、どれも家の洋式便器にかぶせて使うものです。洋式便器のない場所で使うなら、組み立て式の便器やポータブルトイレを別に検討してください。
何回分備える?「1日5回×人数×日数」の早見表
内閣府のガイドラインは、排せつの回数は「1人1日5回が平均的と言われている」としています。備える日数は、内閣府が「まずは3日分」を目標とし、経済産業省は「1人あたり35回分(7日分)」、日本トイレ研究所は「最低3日間、推奨7日間分」としています。
| 家族の人数 | 3日分 | 7日分 |
|---|---|---|
| 1人 | 15回 | 35回 |
| 2人 | 30回 | 70回 |
| 3人 | 45回 | 105回 |
| 4人 | 60回 | 140回 |
| 5人 | 75回 | 175回 |
1日5回で計算しています。政府広報オンラインは「5から6回×人数×7日分」としているので、多めに見るなら6回で計算してください。
比較表の容量は、商品ごとの回数の表示です(Taigu の表示については下の「1回あたりの値段」の節)。たとえば4人家族の7日分(140回)なら、50回分の箱が3つ要ります。内閣府のガイドラインには、東日本大震災で避難所に仮設トイレが行き渡るまでの日数の調査が載っていて、3日以内に届いたのは34%、1か月以上かかったところも14%ありました。
凝固剤だけ・袋とのセット・吸水シート、違いは?
江東区は、区民に配った携帯トイレを「凝固剤で固めるタイプ」「シートが吸い取るタイプ」「防臭袋付き 凝固剤タイプ」の3種類で説明しています。比較表の商品のうち、アクアタルクのシートイレがシートタイプで、ほかは凝固剤タイプです。
凝固剤タイプ:用を足したあとにふりかけて固める
凝固剤タイプは、排せつ物をゼリー状に固めるので後の処理がしやすく、コンパクトにしまえます(江東区)。1回分の凝固剤の量と、固められる水分の表示は商品で違います。
| 比較表の商品 | 1回分の凝固剤 | 販売ページの表示 |
|---|---|---|
| レスキュートイレ119 | 約10g | 約400mlの水分を固める |
| 非常用トイレ 50回 防災セット(シャットレット) | 約9g(水に溶ける紙の包み) | 固められる量の表示は見当たらない |
| トイレの女神 PREMIUM 女性用 | 表示は見当たらない | 500mlの水分を固める |
| 半永久保存 非常用トイレセット(RONE_SHOP) | 表示は見当たらない | 500mlの水が約30秒で固まる |
| 防災士監修 凝固剤 消臭 セット(Taigu) | 6g | 固められる量の表示は見当たらない |
| 防災士監修 20回分 コンパクトセット | 10g | 固められる量の表示は見当たらない |
内閣府のガイドラインは、1回の排せつ量を約200〜300mlとしています。日本トイレ研究所が2025年に定めた民間の「携帯トイレに関する規格」は、人工尿400mLを吸収できる吸収剤を使っていることを性能の条件にしています。
凝固剤は水分がないと固まりません。メーカーの西和は、尿の量が少ないときは水を足してから凝固剤をふりかけ、固まらないときは凝固剤を追加するよう説明しています。また、福井県消費生活センターが調べた7銘柄のうち6銘柄に、尿に異常がある場合や薬の服用状況によっては固まりにくい、という表示がありました。
シートタイプ:袋の中に敷いて吸わせる
シートタイプは、袋の中に吸水シートを敷いて使うので、子どもや高齢者にも扱いやすいとされています(江東区)。アクアタルクのシートイレ(通常版50回分)は吸水シート60枚と汚物袋20枚の構成で、セット内容に防臭袋は書かれていません。袋は1枚を何回か使うか、買い足す前提で備えてください。
凝固剤だけの商品は、袋を別に用意する
レスキュートイレ119は凝固剤だけの商品で、販売ページに「汚物処理袋(ゴミ袋)は付属しておりません」とあります。便器にかぶせる袋は自分で用意します。
袋が付いたセットでも、便器の水から守るために下に敷くポリ袋は別に要ることがあります。千葉市のリーフレットは、便器にとりつけるポリ袋は携帯トイレのセットに入っていないこともあるとして、45リットルのポリ袋を備えの品に挙げています。
1回あたりの値段は「何が付いているか」とセットで見る
比較表の1回あたり単価は、箱の値段を回数で割ったものです。凝固剤だけの商品には袋代が入っておらず、便座カバーや手袋、使い捨てパンツが付く商品は、その分も含んだ値段です。単価は、上の表の「中身の型」が同じ商品どうしで比べてください。具体的な価格と1回あたり単価は更新で変わるため、ページ上部の比較表(自動更新)でご確認ください。
販売ページで回数や箱数を選ぶ形式の商品(RONE_SHOP・Taigu・東京博海の50回分セット・20回分コンパクトセット・アクアタルク)は、選んだ回数で値段が変わります。購入するときは、選んだ回数が比較表の容量と同じかを確かめてください。Taigu は商品名に「100回+20回」とありますが、販売ページの1箱の中身は凝固剤50袋+10袋と書かれています。
保存年数の表示はどう読む?
比較表の商品の販売ページにある保存の表示は、次のとおりです。
| 比較表の商品 | 保存の表示 |
|---|---|
| レスキュートイレ119 | 未開封で約10年 |
| 非常用トイレ 50回 防災セット(シャットレット) | アルミパック未開封で約15年 |
| トイレの女神 PREMIUM 女性用 | 「半永久保管」(年数の表示は見当たらない) |
| 半永久保存 非常用トイレセット(RONE_SHOP) | 約15年(商品名は「半永久保存」) |
| 防災士監修 凝固剤 消臭 セット(Taigu) | 15年 |
| 防災士監修 50回分セット | 15年 |
| 防災士監修 20回分 コンパクトセット | 15年 |
| シートイレ(アクアタルク) | 販売ページの文字では確認できず |
福井県消費生活センターの令和6年度の調査は、携帯トイレの表示には法令上の決まりがなく、業界団体の基準も無いと報告しています。年数は各メーカーの表示で、Taigu・東京博海の50回分セット・20回分コンパクトセットの販売ページには、15年の根拠は書かれていません。日本トイレ研究所の規格は、メーカーが決めた交換の目安まで性能が保たれることを求めています。
メーカーの西和は自社の携帯トイレについて、「10年経過してもご使用可能」としつつ、湿気の多い場所で長く保管すると吸収の性能が少し落ちると説明しています。比較表の商品でも、レスキュートイレ119・RONE_SHOP・Taigu の販売ページは、直射日光や湿気の多い場所を避けて保管するよう書いています。
開封したあとは、表示の年数どおりには持ちません。レスキュートイレ119は開封後は早めに使うよう、シャットレットはアルミパックを開けると湿気を吸うので早めに使い、備蓄なら開封しないよう書いています。日本トイレ研究所は、年に1回は備蓄の状況を確かめることを勧めています。
使い方:便器にポリ袋を2重にかけてから使う
内閣府のガイドラインは、便器の中の水がしみこまないよう、便座にビニール袋をかぶせて固定し、その上に携帯トイレを付けて使うよう示しています。千葉市のリーフレットの手順は次のとおりです。
- 便座を上げて、便器にポリ袋をとりつける
- 便座の上から、携帯トイレの袋(排せつする袋)をとりつける
- 袋の中に排せつし、吸水シートや凝固剤で固める(入れるタイミングは製品による)
- 携帯トイレの袋だけを取り、空気を抜いて口を結ぶ
- 密閉できる容器にしまい、ごみの収集が再開するまで保管する
凝固剤は便器に直接入れないでください。レスキュートイレ119・シャットレット・RONE_SHOP・Taigu の販売ページは、詰まりや故障の原因になると注意しています。
温水洗浄便座のトイレでは、停電するとウォシュレットの機能やリモコンでの洗浄は使えず、便ふた・便座は手で開け閉めします(TOTO)。LIXIL は断水時、フルオート便器洗浄やフルオート便座の設定を「切」にするよう案内しています。注意書きを読めた比較表の商品(レスキュートイレ119・シャットレット・RONE_SHOP・Taigu)の販売ページには、温水洗浄便座についての記載は見当たりませんでした。
千葉市のリーフレットは、購入したら実際に試してみるよう勧めています。江東区は、訓練などふだんに使った携帯トイレは、便から凝固剤や吸水シートを取り除いてトイレに流し、残りは燃やすごみの日に出すよう案内しています。
使い終わった袋の保管と捨て方
環境省の災害廃棄物の行動指針は、携帯トイレは可燃ごみになるが、ほかの可燃ごみと分けて保管し、衛生対策をするよう示しています。東京23区の案内の例は次のとおりです。
- 文京区・杉並区: 袋に新聞紙などの燃えやすい物を入れ、空気を抜き、ビニール袋を二重にして口をしっかり縛る。収集が再開したら、ほかの可燃ごみと分けて出す(杉並区は可燃ごみの収集を発災後4日目に再開することを目標にしています)
- 江東区: 災害時に使ったものは、収集が再開するまで家庭でほかの生活ごみと分けて保管する。再開後は、腐敗しやすい燃やすごみとして優先的に収集する
千葉市は、自治体によって処分の方法が違うので調べてから出すよう書いています。災害時はごみの収集がすぐに始まらないかもしれないため、密閉できる袋や箱を用意しておくよう勧めています。
比較表の商品では、防臭袋が付くのはシャットレット・RONE_SHOP・Taigu・東京博海の50回分セット・20回分コンパクトセットで、トイレの女神には処理袋が付きます。凝固剤だけのレスキュートイレ119には付かず、シートタイプのアクアタルクもセット内容に防臭袋は書かれていません。においを通しにくい袋を別に選ぶなら、防臭袋の比較 も参考にしてください。
購入者のレビューで多い声
2026年11月5日に、レスキュートイレ119・シャットレット・Taigu・東京博海の50回分セット・アクアタルクの楽天レビューを、星1〜3と星5を中心に読める範囲で読みました(RONE_SHOP は新しい数件だけ。トイレの女神と20回分コンパクトセットは読めませんでした)。
- 備蓄用に買ってまだ使っていないという声が大半で、実際に使った感想は多くありませんでした。固まり方やにおいは、レビューだけでは判断しにくいと考えてください
- 凝固剤だけの商品では、袋が付いていないので厚手のポリ袋を買い足した、という声がありました
- シートタイプでは、凝固剤が入っていると思っていた、思ったより吸わなかった、という声と、トイレが使えないときに使いやすかった、という声の両方がありました
- 凝固剤が1つの袋にまとめて入っていて小分けにしにくい、届いた箱がつぶれていた、付属品がばらばらに届いた、という声もありました
- 大きな地震のあとは注文が集中し、届くまでに時間がかかった、という声がありました
備えたあとに多い失敗
下に敷くポリ袋を用意していなかった
凝固剤だけの商品はもちろん、袋付きのセットでも、便器の水から守るための下のポリ袋は入っていないことがあります。45リットルほどのポリ袋を、トイレの備えと一緒にしまっておきます。
凝固剤を便器に直接入れてしまう
凝固剤は水分を吸って固まるので、便器に入れると詰まりの原因になります。必ず袋の中に入れてください。
尿の量が少なくて固まらない
凝固剤は水分がないと固まりません。尿の量が少ないときは、水を少し足してから凝固剤をふりかけます。固まらないときは、凝固剤を追加します(西和の説明書)。
一度も開けずに、いざというときに手間取った
袋のかぶせ方や凝固剤を入れる順番は、説明書を読みながらだと時間がかかります。備えたら一度試し、表示の年数が近づいたものから練習に使って入れ替えておくと、使い方を覚えたまま備えを新しく保てます。
まとめ
防災用の簡易トイレは、①家族の回数を「1日5回×人数×日数」で決める、②袋や便座カバーが付いているかを見る、③保存の表示と開封後の扱いを確かめる、の順で選ぶと失敗しにくくなります。凝固剤だけの商品は袋を、セットの商品でも下に敷くポリ袋を別に用意してください。具体的な価格・1回あたり単価はページ上部の比較表(自動更新)で確認できます。
災害への備えとしては 乾電池の比較 や 使い捨て食器の比較、ミネラルウォーターの比較 もあわせて確認しておくと安心です。
※ 価格は記事執筆時点の楽天市場での販売価格です。価格は変動する場合があります。